倒産してしまった会社への売掛金回収
取引先の会社が倒産してしまった場合に、その取引で生じた代金の請求をできないと思っている方がいらっしゃるそうです。
確かに会社が倒産してしまっては元も子もないため、請求ができないように思われます。
しかしケースによっては回収が可能であるため、泣き寝入りをする必要はありません。
倒産には大きく分けると二つの種類があり、再建型と清算型に分けられます。
再建型は事業を継続しつつ、会社の再建を図る方法であり、会社更生や民事再生などがこれに該当します。
清算型は事業を止めて生産を図る方法であり、破産や特別清算がこれに該当します。清算型が一般的に知られている倒産形態でしょう。
取引先が再建型の倒産を選択した場合には、今後の状況を考慮しながら回収対応を行うことになります。
清算型を選択した場合には回収対応を集中的に行うことにはなりますが、音信不通になったり、支払停止をする旨が表明されることもあります。
回収を行う場合には、5年の消滅時効が定められているため、速やかに回収対応を進めていく必要があります。
売掛金回収にあたってはさまざまな情報を収集する必要があります。
その情報とは以下の点となります。
・倒産事実
・債権の種類と金額
・代表者の所在
・納品済商品の所在
・転売先の種類
・取引先への債務の有無
・手形の有無
・担保、保証人の有無
・他の債権者の動向
実際に上記の収集し、倒産が事実であった場合に、回収対応を始めて行きます。
回収を行う際に使用できる方法としては、相殺、商品の引き上げ、担保権の実行、強制執行、動産売買先取特権が考えられます。
相殺とはその名の通り、取引先の会社が自社に対して有する債権と売掛金債権とを相殺する方法です。
商品の引き上げは、取引先に引き渡し済の商品を引き上げることで、自社の損失を未然に防ぐ方法となります。
引き上げを行う場合には、取引先から了承を得る必要があり、無断で商品を引き上げたり契約を解除すると、逆に不利な立場となってしまいます。そのため、同意書などを作成すると良いでしょう。
担保権の実行とは、取引先が有する不動産などについて、抵当権などの担保権を設定していた場合には、担保権を実行することで弁済と同等の満足を得る方法です。
よく担保権と抵当権の違いについてのご質問を受けます。担保権は借金の補償として貸出人に引き渡す物品についての権利を指し、抵当権は担保権の中の一つです。
差押えは、取引先との間で交渉人によって作成された公正証書があり、「未回収の債権が発生した場合は、強制執行する」旨が契約書に記載されている場合には、裁判手続きを経ることなく取引先の財産を差し押さえることができるという制度です。
動産売買先取特権は、商品の売却代金について、他の債権者よりも優先して弁済が受けられる制度です。
動産売買先取特権は、破産手続きによる影響を受けない別除権であるため、取引先が破産を選択している場合でも利用することができます。
法律事務所桃李では、取引先の会社が倒産したときの売掛金回収事務に対応しております。お困りの方は是非ご相談ください。