消費者の利益を不当に害する条項とは?無効になってしまう具体例を紹介
法律に基づき、「消費者の利益を不当に害する条項」は無効とされます。具体的にどのように定めると無効になってしまうのでしょうか。具体例を交えて当記事で解説していきますので、消費者との契約が発生する事業者は十分注意してください。
消費者の利益を不当に害する条項は無効
事業者が消費者で交わす契約に関しては、消費者契約法で一定の制約がかけられています。
同法の目的を定めた第1条でも「当事者間の交渉力や情報量等の格差を鑑み、消費者の利益を守る」旨が明記されており、そのための措置の1つとして次の文言が置かれています。
事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とする
原則として契約内容は当事者間で自由に定められるものであって、一方に不利な条件が課されていたとしてもそれだけで当然に無効になるものではありません。
しかし消費者と事業者の間で原則をそのまま適用したのでは、事業者の都合の良いようにルールが定められてしまう危険性があります。このような行為が横行してしまうと、消費者個人の利益のみならず国民経済に悪影響が及びうることから制約がかけられているのです。
「不当に害する条項」の具体例
実際のところ、どのような条項だと「消費者の利益を不当に害する」と法的な評価を受けてしまうのでしょうか。いくつかのパターンで分けて紹介していきます。
自社が責任を負わないとする条項
法第8条では免責に関わる条項について、一定の場合には無効になる旨規定されています。たとえば次のように契約書に条項を設けても当該条項は無効となってしまいます。
- 「当社のシステムの故障や誤作動によって生じた障害に関して、当社は責任を一切負わない。」
・・・すべての責任を免除する条項は無効。 - 「会員の施設利用によって生じた傷害等の事故については、当ジムは責任を負わない。」
・・・責任の一部を免責する条項でも、消費者の生命身体という重要な法益であることを考慮すると、賠償責任を排除する条項は無効となり得る。 - 「過失の存在を確認できた場合、当社が責任を負うものとする。」
・・・責任の有無を事業者側が決められるとする条項は無効。
一方、事業者の故意や重過失によらない損害に関して責任を一部免除する条項であって、その内容が合理的な範囲内であれば、免責条項も有効となります。
ただし有効無効の判断は容易ではなく過去の裁判例なども参照する必要があるため、消費者問題に精通した弁護士に相談することをおすすめします。
キャンセルや解除を禁止する条項
消費者からの申し込みのキャンセル、契約解除について、その権限を不当に制限する条項を設けている場合も要注意です。
- 「当社が販売した商品に関しては、いかなる理由でも返品・キャンセルはできない。」
・・・一切のキャンセルを認めない条項は無効。 - 「当社が過失を認定した場合を除き、申し込みの撤回はできない。」
・・・解除権の有無を事業者側で決められるとする条項は無効。 - 「押さえた結婚式場をキャンセルする場合、成約直後から契約金額の80%のキャンセル料が発生する。」
・・・損害額の相場を超えるキャンセル料を求める条項は無効。
一方、解約時期に応じた合理的な金額(一般的な損害の範囲内)のキャンセル料を求める条項であれば有効となります。
信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項
法第10条では、消費者の不作為(何もアクションを起こさないこと)をもって新たな契約の申込みがあったとみなす条項であって、信義則に抵触し、利益を一方的に害する条項を無効としています。
そのほか、権利の制限・義務の加重を定めた条項に関しても同様に無効になる可能性があります。
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
第10条は無効となる条項に関する包括的なルールであり、全部免責条項や多額のキャンセル料を求める条項のように判断基準が明確ではありません。法の基本原則に則り評価する必要があるため、法的な知見・経験を持つ方が契約条項の有効性をチェックする必要があるでしょう。
ただ、条文上も1つ例が挙げられており、勝手に新たな申し込みとみなす条項については無効になることが明示されています。そこで、次のような事例では条項が無効となることに留意してください。
事例)通販で商品Aを販売する際、化粧品サンプルBも同封。商品Aの購入に関する契約書には、「継続購入が必要ない旨の通知を消費者から行わない限り、Bについて定期購入する契約を交わしたものとみなす。」といった内容の条項を記載していた。
しかしながら、すべての自動更新が否定されるわけではありません。消費者にとって便利な仕組みであり、更新によって受けるおそれのある不利益も小さいと評価される場合、自動更新条項も有効となる場合があります。
有効・無効の評価は弁護士にご相談ください
明らかに自社のみが有利なルール、明らかに消費者が不利益を被る条項であれば無効かどうかの判断もしやすいです。しかしその線引きが難しいケースもありますし、無効になることを過度に避けようとすると自社が不利になってしまうおそれもあります。
適切な契約条項を設け、消費者トラブルを避けつつ自社の利益を守るためにも、契約内容を検討するときは消費者問題に強い弁護士を頼りましょう。










