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消費者契約法は何のための法律か|企業が遵守しなければならない理由とは

消費者契約法は、公正な取引環境を築くために重要な法律であり、企業には同法の遵守が求められています。

特に消費者との取引が発生する企業の方は同法に留意する必要があるでしょう。

そもそもこれはどのような法律で、何のための法律なのか、この点を説明のうえ企業側の目線で「消費者契約法を遵守しないといけない理由」について言及していきます。

 

消費者契約法は消費者を保護するための法律

消費者契約法は、一言でいうと「消費者を保護するための法律」です。条文でも第1条にて、次のように法の“目的”が定められています。

 

この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、・・・消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

引用:e-Gov法令検索 消費者契約法

 

消費者と事業者との間には、情報の量や質、交渉力に差があることが多く、事業者の方が商品やサービスについて詳しく知っていたり、契約の交渉に慣れていたりするのが一般的です。

 

このような情報量や交渉力の格差に向き合い、消費者が不利益を被らないよう、契約に関するルールを定めているのが消費者契約法なのです。

 

なお、同法は民法の「特別法」として位置づけられています。

基本的に私人間で交わす契約については民法の規定が適用されるのですが、消費者保護の観点から民法の規定を拡充した特別な規定がここに設けられています。

 

消費者契約法が目指すところ

消費者契約法は「契約の自由」という原則を尊重しつつ、消費者が事実上の弱者の立場にあることを考慮し、バランスの取れたルールを設けることで公正な市場取引の実現を目指しています。

 

例えば、以下のような状況で、消費者は不利な立場に置かれる可能性があります。

 

  • 難しい専門用語が使われた契約書を渡され、深いところまで理解が及ばないままにサインをさせられる。
  • 強引な勧誘を受けて断り切れず、必要のない商品を買わされてしまう。
  • 商品の欠陥を隠されて、これを見抜けず不良品を買わされてしまう。

 

原則から言えば、きちんと契約書を読むべきともいえますし、勧誘を受けても断ればいいともいえます。

しかし実際のところはすべての消費者に対して事業者と同等の水準まで求めるのは酷であり、現実的ではありません。

そこで消費者契約法により一定の保護をし、こうした状況から消費者を守ろうとしているのです。

 

企業が消費者契約法を守ることの重要性

上述のとおり、消費者を法的に保護するのが同法の目的ですが、事業者の視点からは「法的リスクの回避」「経済的損失の防止」「社会的信用の維持」などのために遵守する必要があると説明できます。

 

法的リスクの回避

同法に違反することで、消費者との契約が取り消されるリスクが生じます。

 

同法では、事業者による不当な勧誘や、消費者の利益を一方的に害する契約条項が含まれている場合、消費者はその契約を取り消すことができると定められているためです。
企業からすると、すでに完了したと思われていた取引が無効となってしまい、売上や利益の損失につながることを意味しています。

 

さらに、適格消費者団体からの差止請求のリスクも存在します。違反行為が継続的に行われている場合、適格消費者団体はその行為の差止めを裁判所に請求することができ、これが認められれば事業の継続に重大な影響を及ぼす危険性が出てきます。

 

これらの法的リスクを回避するためには、企業は消費者契約法の規定を十分に理解し、日々の事業活動において確実に遵守する必要があります。

特に、契約書の作成、広告・勧誘の方法、顧客対応のプロセスなどにおいて、法律の要求事項を厳格に守ることが求められます。

 

経済的損失の防止

消費者契約法の遵守は、企業にとって直接的・間接的な経済的損失を防ぐ上でもとても重要です。

 

まず、同法違反により契約が取り消された場合、企業はすでに得たと考えていた収益を失うだけでなく、その取引にかかった諸経費も無駄になってしまいます。
例えば、商品の製造コスト、配送費用、販売員の人件費などが回収できなくなる可能性があります。さらに、返金や商品の回収にかかる追加コストも発生します。

 

また、消費者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負うこととなります。
単に損害額を支払うだけでなく、訴訟費用や弁護士費用など、付随する費用も含めて考える必要があるでしょう。

大規模な集団訴訟に発展すると企業の財務に深刻な影響を与える可能性もあります。

 

これらの経済的損失を防ぐためには、法務部門の強化や顧客対応に関する適切な教育の実施、定期的な内部監査の実施、問題発生時の迅速な対応体制の構築など、組織全体で取り組むべき必要があるでしょう。

 

社会的信用の維持

企業の社会的信用を維持・向上させるためにも同法の遵守が欠かせません。

 

現代社会において、企業の評判や信頼性はその企業の価値を左右する重要な要素でもあります。消費者契約法の遵守も、企業が消費者の権利を尊重し公正な取引を行う姿勢を示すことにつながり、さらにその姿勢は企業の社会的責任(CSR)の一環として評価されます。

 

また、コンプライアンスが徹底できていると取引先や投資家からの信頼獲得にも影響し、さらには優秀な人材の獲得・維持にも影響を与えることでしょう。

 

以上のように、消費者契約法の遵守は、企業の社会的信用を維持・向上させる上で大きな役割を果たします。

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  • 所属団体
    • 大阪弁護士会所属
    • 大阪弁護士会消費者保護委員会委員および裁判員本部委員
    • 刑事弁護委員会委員
    • 大阪大学法曹会幹事
    • 大阪青年会議所
  • 経歴

    大阪大学法学部卒業

    2005年(平成17年)11月 司法試験合格

    2006年(平成18年)4月 司法修習生(60期)

    2007年(平成19年)9月 大阪弁護士会に弁護士登録

    2015年(平成27年)7月 岡本仁志法律事務所開設

    2020年(令和2年)7月 法律事務所桃季開設

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