消契法で無効になる契約条項とは?消費者とトラブルになったときの対処法
消契法(消費者契約法)では、対消費者との契約において一定の要件を満たす条項は無効になると定めてあります。契約に無効な条項が含まれているとなれば、企業が想定していた権利を行使できなくなったり、損害賠償請求もできなくなったりする可能性が出てきます。
当記事ではこの消契法について言及し、無効とされる条項の内容や、トラブルが起こったときの対処法について解説していきます。
消契法による規制の仕組み
消契法では、消費者と事業者の間の情報格差や交渉力の格差を背景として、消費者に不当に不利益を与える契約条項を無効とする規定が設けられています。これは契約自由の原則に対する制約であり、企業は契約書作成時に十分な注意が必要となります。
ただし同法が無効とするのは特定の条項のみであって、無効となる条項がある場合でも契約全体が無効となるわけではありません。残りの部分は有効な契約として存続します。とはいえ企業側が期待していた権利や保護が得られなくなりますし、信用問題にも影響し、結果的に大きな損失を被る可能性があります。
無効条項の類型
契約書に一定のルールを記載し、そこに当事者の署名があったとしても、下記の条項に該当するなら効力が生じません。相手方の同意があっても無効であることは変わらないため、自社を有利な立場にしようとそれらの条項を置かないように気を付けてください。
事業者の損害賠償責任を制限・免除する条項
自社が損害賠償責任を「一切負わない」とする条項や、自社の故意や重大な過失によって発生した損失まで責任を制限・免除する条項は無効です。サービスの提供に際して起こり得る自社のリスクをできるだけなくそうと、このようなルールを設けることのないようにしてください。
そこで次のような規定を置いている場合は書き換える必要があるでしょう。
- 「当社は一切の責任を負いません。」
- 「当社の過失による損害についても責任を負いません。」
また、免責しようとする対象が軽過失に基づく損失であっても、その範囲が不明確であったり重大な過失を除外していなかったりする場合は無効となるため注意してください。こうした規定が有効に機能するのは、適用範囲が明瞭でかつ重過失等による損失に関しては除外している場合です。
もし自社の責任を免除しようとするルールを置くなら、使用する文言や範囲などを慎重に評価し、できるだけ具体化するよう留意しましょう。
解約に過大な負担を課す条項
消費者の解約権を不当に制限する、相場とされる一般的な額を大幅に超える違約金やキャンセル料を設ける条項も有効にはなりません。
たとえば、「解約は一切認めない。」「解約時には、契約金額の150%を違約金として請求します。」といった内容がこれにあたります。また、解約手続きを不当に複雑にする条項も無効となる可能性があるため注意してください。
消費者が安心して契約できるよう、違約金やキャンセル料の設定根拠を明確にすること、そして必要以上の負担を求めないことが大切です。
消費者の利益を一方的に害する条項
個別の類型に当てはまらなくても、消費者の利益を一方的に害する条項に対しては、信義則に反して広く無効という扱いになります。
たとえば、「○○(事業者)が自由に契約内容を変更できる。」「○○(消費者)が契約内容について異議を申し立てることはできない。」「○○(消費者)が成年後見制度を利用した場合は、自動的に契約が解除される。」といった条項が該当します。
具体的にどのようなルールだといけないのか、法で明記されていないものに関しては一般的な商習慣などに照らし、常識的な判断をしていかないといけません。評価が難しくあいまいなケースでは、契約で実用する前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。
起こり得るトラブルと対処法
契約条項の無効を争い起こり得るトラブルとして、次のような例が考えられます。
- 過大な違約金・損害賠償額の請求をめぐって揉める
・・・「解約時は○○の残額全額を違約金として支払わなければならない。」などと法的有効性に疑義がある条項に基づいて事業者が請求。これに対し消費者が争うケースなど。 - 免責条項を理由に消費者からの損害賠償請求を拒否して揉める
・・・「当社は一切の責任を負わない。」などと事業者側の責任を一方的に免除する条項に基づいて消費者からの損害賠償請求を拒否。これに消費者が納得できず争うケースなど。
こうしたトラブルが起こったときは、まず契約書に記載した当該条項を見直し、消契法に照らして有効性に問題がないか、消費者の主張するとおり無効となるのかを評価します。消費者トラブルに精通した弁護士にも相談し、適切な評価を行いましょう。
当該条項が無効となる場合には相手方の言い分も受け入れつつ、和解に向けた交渉を進めていきます。相手方の言い分が不当であり納得がいかないときも、弁護士のサポートを受けながら交渉、あるいは裁判上の手続きを利用しながら自社の権利を主張していきましょう。
また、できればトラブルが起こってから対処するのではなく前もって契約書の内容を見直し、法に準拠できていることをチェックしておくべきです。










