ゲームアプリの有料ガチャは景品表示法の対象?
違法なケースや規制を受けるケースとは / 法律事務所桃李

法律事務所桃李 > 消費者とのトラブルにお困りの企業へのサポート > ゲームアプリの有料ガチャは景品表示法の対象?
違法なケースや規制を受けるケースとは

ゲームアプリの有料ガチャは景品表示法の対象?
違法なケースや規制を受けるケースとは

多くのゲームアプリには「ガチャ」のシステムが搭載されています。ゲーム内で使えるアイテムなどを一定確率で使用可能にするというもので、無料でできるガチャもあれば有料でするガチャもあります。

このガチャについては景品表示法上の上限規制に留意すべきケースがあり、さらに特定の手法に関しては全面禁止までされています。どのようなルールに従いガチャを運用しないといけないのか、ここで解説します。

 

景品表示法で規制される「景品類」とは

ガチャに限らず、世の中のさまざまな景品に関して、それが景品表示法上の「景品類」に当てはまるときは一定の規制を受けます。

 

まずは景品類とは何か、ということを整理しておきましょう。同法では次のように定義しています。

 

この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するものをいう。

引用: e-Gov法令検索 不当景品類及び不当表示防止法第2条第3項

 

つまり、

  1. 顧客・消費者を集めるための手段であって、
  2. 本来の取引とは別で付随するものとして、
  3. 提供される物品などの経済上の利益

であるときに、その提供するものが「景品類」に該当するということです。

 

なお、内閣総理大臣はこの規定に基づいて具体的にどのようなものが景品類に該当するのかを提示しています。

 

《 景品類に該当し得るもの 》

 

  • 物品
  • 土地や建物
  • 金銭・金券
  • 預金証書
  • 当せん金付証票及び公社債
  • 商品券
  • 映画や演劇等への優待・招待 など

 

ガチャは「景品類」として規制されるか

上記の条件をガチャに当てはめて考えてみると、次の場合に景品類として規制を受けることになります。

 

  1. ゲームユーザーを集めるために、
  2. 課金が必要なゲーム等に付随して、
  3. 経済上の利益といえるアイテム等を提供する

 

「顧客」はこの場合、ゲームをプレイするユーザーということになるでしょう。

また、同法上の「取引」とは対価を得てするものと考えられていますので、一切の支払いが発生しない無料ゲームについては適用対象外となります。

そして「経済上の利益」についてですが、これは「ユーザーにとって通常対価を支払うことで取得するものといえるかどうか」で判断します。表彰のような、単に名誉を表するものは含まれませんが、ガチャで当たるアイテムなどは通常この経済上の利益にあたると考えられています。

 

有料ガチャは基本的に規制を受けない

ガチャにも有料のものや無料のものなど、種類があります。

 

このうち有料ガチャに関しては、ガチャのために課金をしており、それ自体が「取引」であると考えられることから、景品類の要件である取引付随性を満たしません。

 

とはいえ有料ガチャの形態にもいろんなパターンがありますので、一つひとつ個別に評価を行うことが大事です。場合によってはユーザーと行う取引対象そのものと評価できないこともあるかもしれません。その場合は景品類に該当して規制を受けることとなります。

 

無料ガチャには注意

無料ガチャについては要注意です。

 

もし、ゲームアプリ自体にも一切課金が不要であるなら、同法でいう「取引」が存在していないことからガチャについても景品類としての規制はありません。

 

しかしながらゲームアプリ自体は有料である場合、無料ガチャが景品類に該当する可能性があります。

 

もし景品類に該当するときは、取引の価額に対応して提供できる景品類の価額が規制されます。

 

コンプガチャは禁止

ガチャのうち「コンプガチャ(コンプリートガチャ)」と呼ばれる提供形態は全面的に禁止されています。

※コンプガチャとは、有料ガチャで手に入るアイテムを全種コンプリートすることでレアなアイテムが手に入る仕組みのこと。

 

レアアイテム欲しさに何度も有料ガチャを行う可能性があり、著しく射幸心をあおることから違法と扱われるようになりました。

 

そのためコンプガチャに類する方法でガチャを提供する場合にも注意が必要です。有料ガチャのおまけとしてアイテムを提供する場合にも規制を受けることがあります。

 

ガチャのシステムを設けるときは法規制に注意しよう

ゲームを開発し、これを提供する事業者は、ガチャのシステムが違法になっていないか事前にチェックしておく必要があります。

 

まずは「コンプガチャやそれに類するものになっていないこと」を確認し、もし景品類に該当するときは「規制の範囲内で提供できていること」の確認をしなければいけません。

 

景品表示法にどのように適応すればいいのかわからず困惑することもあるかもしれませんが、そんなときは弁護士にご相談ください。

当事務所が提供する基礎知識

  • 特定継続的役務提供への対...

    特定継続的役務提供については、以下の行政規制がなされており、事業者がこれらに反しないようにサービスを行う必要があります。...

  • ネット販売で返品不可にし...

    インターネット上で商品販売を行う場合、特商法に基づく返品のルールに注意が必要です。何ら対策を取らないと特定の場合に返品を...

  • 返金要求のクレーム対応

    ■返金クレーム返金を求めるクレームは全く根拠のない不当なものから、相手方に一定の正当性があるものまで様々な態様のものが考...

  • 景品表示法違反が発覚して...

    景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、不当な表示等を防ぎ、一般消費者の利益を保護するための法律です。製品やサービ...

  • 飲食店で悪質な行為をする...

    お客さんが店で迷惑行為をしてSNSで炎上するという事件が、ここ数年だけでも多く発生しています。他のお客さんに不快な思いを...

  • ECサイトを運営するとき...

    ネットショッピング、通販などを行う Webサイトは「 EC( Electronic Commerce)サイト」と呼ばれま...

  • コンプライアンス体制の整...

    「企業のコンプライアンスについて、市民の目が厳しくなっているが、どう対応するべきなのか分からない。」「今後の自社で不祥事...

  • 訪問販売で消費者とトラブ...

    実際に消費者の自宅に訪問して商品を販売するなどの業務活動をする「訪問販売」ですが、業務が行われる場所が特殊であるゆえに、...

  • モンスタークレーマーによ...

    近年、モンスタークレーマーによる風評被害は事業者にとって深刻な問題となっています。インターネットやSNSが普及したことで...

  • 景品表示法を違反しないた...

    企業が商品やサービスを提供するにあたっては、消費者に対して、当該商品やサービスを購入するように働きかけることになります。...

よく検索されるキーワード

弁護士紹介

岡本弁護士の写真
代表弁護士
岡本 仁志(おかもと まさし)
ご挨拶

解決までのスピードに自信があります。債権回収、消費者被害、訪問販売トラブル、ネットワークビジネストラブル、企業トラブルなどでお困りでしたら、法律事務所桃李までお気軽にご相談ください。


これまでに培った知識・経験を活用して、問題解決に最適な方法をご提案するだけでなく、プラスアルファとしてクライアント様からお話を聞く姿勢、そしてリーガルサービスを提供する姿勢にも心を配っています。


「法律事務所桃李に相談して良かった」とご満足頂ける、そんな安心・信頼の法律サポートを行って参ります。

  • 所属団体
    • 大阪弁護士会所属
    • 大阪弁護士会消費者保護委員会委員および裁判員本部委員
    • 刑事弁護委員会委員
    • 大阪大学法曹会幹事
    • 大阪青年会議所
  • 経歴

    大阪大学法学部卒業

    2005年(平成17年)11月 司法試験合格

    2006年(平成18年)4月 司法修習生(60期)

    2007年(平成19年)9月 大阪弁護士会に弁護士登録

    2015年(平成27年)7月 岡本仁志法律事務所開設

    2020年(令和2年)7月 法律事務所桃季開設

事務所概要

最善のリーガルサービスで理想的な解決を実現します

クライアント様の問題を的確に把握し、理想的な解決を実現するためにどんな方法が有効なのか多角的に検討し、考え得る方法の中から最善のリーガルサービスをご提供します。

ご自身の希望にかなう解決をお求めでしたら、大阪・北区東天満の法律事務所桃季までご相談ください。

信頼の解決力で理想的な解決を目指します。

事務所名 法律事務所桃李
代表者 岡本 仁志(おかもと まさし)
所在地 〒530-0044 大阪市北区東天満1丁目7番17号 東天満ビル7階
アクセス

JR東西線・学研都市線「大阪天満宮駅」より徒歩3分

電話番号/FAX番号 TEL:050-3188-5207 / FAX:06-6314-6905
対応時間 平日 9:00 -17:00 ※事前予約で時間外も対応可能です
定休日 土・日・祝日 ※事前予約で時間外も対応可能です

ページトップへ