取引先が代金を払わないときの債権回収方法を解説
「仕事を完了したのに報酬が振り込まれない」「商品を納品したのに代金を支払ってくれない」といった場面は、事業を営んでいると起こり得るものです。
しかし、催促するのに気まずさを感じてしまうこともあるでしょう。あるいは催促しても支払ってくれない相手方に対し、どう回収すればいいのかわからず悩むケースもあるかと思います。
こうした問題を解決するための、債権回収方法の基本をここでご紹介いたします。
書類・記録の確認
回収の手続きをスムーズに進めるために、未払いに気づいてすぐ請求するのではなく、まずは手元の書類を整理しておきましょう。揃えておきたいのは以下の書類です。
- 取引の根拠となる書面の例
- 契約書
- 発注書
- 注文請書
- 履行が完了した証拠の例
- 納品書
- 検収書
- 作業完了報告書
- 金額や支払期日が確認できる請求書
- メールやチャットでやり取りした記録
これらの書類は、後に法的手続きに進む際の証拠にもなります。特に「いつ」「いくら」「何の代金として請求したか」が明確に示せる状態を整えておくことが、その後の対応を左右することになるでしょう。
※代金を請求する権利(債権)には時効がある |
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権利を行使できることを知った時(基本的には支払期日の翌日)から5年で時効が完成し、権利が消滅してしまう。長く放置しているとせっかくの請求権を失うことになりかねないため、早期に動くことが重要。 |
未払いの事実を伝え催促する
自社の請求権の確認が書類でもはっきりすれば、相手方との交渉を始めます。
最初は電話やメールで穏やかに確認するところから始めると良いでしょう。特定の請求書の件で振込みが確認できていない旨を伝えます。相手方が単に支払いを忘れていたケースなら、事実を伝えるだけで解決することも少なくありません。
本気度を伝える請求方法
すでに未払いの事実が認識されているにもかかわらず応じてくれないときは、期限を明示した上で催促します。「○月○日までにご入金がない場合、法的手続も含めた対応を・・・」といった一文を添えれば、相手に対し事態の深刻さを伝えることもできるでしょう。
また、口頭やメールでの催促に応じないときは内容証明郵便による催告書の送付を検討します。
内容証明郵便とは、いつ誰がどんな書面を送ったかの証明を受けつつ送れる郵便のことです。相手方に対し「この件を法的に本気で対処しようとしている」という強いメッセージを伝える効果があり、任意での支払いを促すうえで一定の心理的なプレッシャーとなり得ます。
法的手続きの検討に入る
内容証明郵便を送るなど直接の交渉を行っても応じてくれないときは、裁判所を通じた法的手続きを検討します。ここでの主な手段としては①支払督促と②訴訟が挙げられます。
支払督促
支払督促とは「簡易裁判所から相手方に対して支払いを求める督促状を送付してもらう手続き」です。
裁判所での審査は書面のみで行われるため比較的費用も労力も少なく、相手方が異議を申し立てなければ訴訟を経ずに強制執行が可能になります。
利用手順は以下のとおりです。
- 簡易裁判所に申立書と証拠書類を提出する
- 書類審査を経て問題がなければ、裁判所から相手方に督促状が送られる
- 相手方が送達から2週間以内に異議を申し立てなければ、強制執行を行うための仮執行宣言の申立てが可能になる
- 仮執行宣言の送達後、2週間以内に異議がなければ強制執行が可能になる
ただし、相手方が「私に支払う義務はない」「もう支払っている」など異議を申し立ててきたときは自動的に通常の訴訟手続へと移行します。そのため相手方が争う姿勢を見せているならはじめから訴訟を選択するほうが良い場合もあります。
訴訟の提起
訴訟は、裁判所の判決という形で債権の存在を確定させる手続きです。
支払督促と異なり相手方の主張も審理されますが、判決が確定すると強制執行の根拠となります。
請求金額が140万円以下なら簡易裁判所で、140万円超なら地方裁判所に申し立てます。
実際に財産を確保・回収するには
督促や訴訟を経ても自動的に債権が回収されるわけではありません。回収する権利が確定した状態ですので、そこから相手方の支払を待つか、強制的に確保する手段を取る必要があります。
強制的な手段が「強制執行」であり、これは裁判所の執行官を通じて相手方の財産を差し押さえる手続きです。差押え対象は、預金口座・売掛金・不動産・動産など多岐にわたります。
強制執行を進めるには、判決書や仮執行宣言付支払督促などの債務名義を備え、裁判所へ申立書類を提出します。
※財産を隠されるおそれがあるときの「仮差押え」 |
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「争っている間に財産を処分してしまうかも」という心配があるときは、「仮差押え」の手続きが有効。訴訟などの結果が出る前に、相手の財産を裁判所の命令により一時的に動かせない状態にしておくというもの。 ただし、裁判所に対して債権の存在や財産の散逸のおそれがあること示す必要があるなど複雑な判断を要するため、弁護士に依頼して進めるのが一般的。 |









