高齢者に訪問販売を行ったとき気を付けるポイントとは?
特定商取引法では消費者を守るためのルールが定められており、訪問販売を含むいくつかの営業方法について規制をかけています。
事業者としてはどのような点に注意をすべきか、とりわけ高齢者への訪問販売を行う際には注意が必要ですので、ここでその内容をまとめていきます。
何が訪問販売にあたるのか
訪問販売について、特定商取引法上のルールを踏まえた注意点を紹介していきますが、まずは「訪問販売」の定義について確認しておきましょう。
訪問販売とは同法第2条に規定されている行為を指し、簡単に説明すると“営業所以外の場所で勧誘や契約をする行為”といえます。
そのため、事業者ではない一般の消費者宅を訪ねて営業を行ったり、自宅やカフェなどに呼んで商品を勧めたりする行為は訪問販売であると表現できます。
また、必ずしも営業所である必要はなく、以下の勧誘による場合は営業所で行われたとしても同法の定義する訪問販売として規制の対象となります。
- 勧誘目的であることを伝えず営業所に呼び出して営業をかける
- 他の人に比べて著しく優遇して契約を行う旨を伝えて勧誘を行う
- 外で声をかけた後、営業所に連れて行って勧誘を行う など
注意点①勧誘を拒否できるように配慮
特定商取引法で定義される訪問販売それ自体が禁止されているわけではありませんが、いくつかの規制がかかるため注意しなくてはなりません。
まず気を付けたいのが、「訪問販売をするときは勧誘を拒否できる機会を与えること」です。
勧誘を受ける・断る、を決めることができるようにし、断る機会を与えるようにしましょう。
そのためにも、以下3点を伝えることが法律により義務とされています。
- 会社名
- 勧誘目的である旨
- 紹介する商品やサービス
そこで「お話だけでも聞いていただけますか?」と曖昧な聞き方をせず、事業者として○○という商品について勧誘しようとしている、といった情報を最初に伝えるようにしてください。
勧誘に先立って行うことが大事です。
注意点②何度も勧誘しない
同法では「再勧誘の禁止」が定められています。
まず、「勧誘を受ける意思があるかどうかの確認をする」という努力義務が規定されていますので、前項に挙げた伝えるべき事項を伝えた後で勧誘を受ける意思の確認をすべきです。
そしてこの確認を行った際、相手方が「お断りします。」と意思表示をしたときはそれ以上しつこく勧誘を行ってはいけません。
後日訪れて再度勧誘を行うこともしてはいけません。
こちらは努力義務ではなく禁止事項として規定されていますので気を付けましょう。
注意点③事実の不告知や困惑する行為をしない
訪問販売にあたっての禁止事項がいくつか法定されています。
間違った事実を伝えること、事実をあえて伝えないこと、その他相手方が困惑して仕方なく契約してしまうような行為などをしてはいけません。
訪問販売時の禁止事項 | |
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不実告知の禁止 | 商品やサービスの良さを大げさに伝えたり、説明を求められたときいごまかして事実でないことを伝えたりしてはいけない。騙そうという意図の有無とは関係なく禁止事項とされている。 |
事実不告知の禁止 | 重要事項について意図的に伝えないことも禁止されている。 例えばキャンペーン価格で初回は△△円と安く購入できるものの、その後□□円と高くなるといった場合、通常価格を伝えず「△△円で購入できます。」とだけ伝えるのは重要事項の事実不告知にあたる。 |
威迫困惑の禁止 | 申込・契約をさせるために消費者を威迫し、困惑させる行為は禁止されている。 ここでいう威迫困惑とは、脅迫ほどではないものの相手方に不安を生じさせる行為をいう。「契約してくれないと困る。」と居座り続ける行為なども該当する。 クーリングオフをさせないために脅す行為もここに該当する。 |
販売目的を隠して連れ込む行為の禁止 | 勧誘目的であることを告げずに事務所や自宅、会議室などに連れ込んで勧誘する行為は禁止されている。 公衆の出入りがなく密室となっている場所が該当する。 |
そのほかにも、契約書に虚偽を記載する行為や進路に立ちふさがったりするなど悪質な行為は当然禁止されており、そういった行為が発覚したときは行政処分の対象となり得ます。
同法の規定に基づき行政処分を受けると、こちらのページにあるように事業者名や処分内容が公表されてしまいますのでご注意ください。
ここから、以前どのような行為で行政処分を受けたのか確認できますので一度チェックしてみるのも良いでしょう。
消費者庁HP:https://www.no-trouble.caa.go.jp/action/
注意点④必ず申込書面・契約書面等を交付する
訪問販売により申込や契約が成立した場合、どこの何という事業者が対応したのか、その他契約内容に関する情報をしっかりと伝える書面を交付しないといけません。
商品等の種類や数量・価格・支払時期や方法・事業者名・担当者氏名など、細かく記載すべき事項が規定されていますので留意してください。
また、「書面の内容を十分に読むべき旨」や「クーリングオフに関する事項」の記載については赤字・赤枠で表記してわかりやすく強調しておきましょう。
適切な書面を交付できていないとクーリングオフ期間の起算日も進行しないため、事業者としても契約破棄をされるリスクが続いてしまいます。
※訪問販売では書面を受け取った日から起算して8日間がクーリングオフ期間である。
高齢者にも理解できるよう丁寧に説明すること
訪問販売を行う際、特に高齢者に対して営業を行う場合は、相手方の理解度に寄り添った説明を行うようにしてください。
相手があまり理解していないことをわかりつつ、「一応の説明はした。」「確かに契約内容は伝えた。」と形だけ適法であるかのように見せかけてもトラブルは避けられません。場合によっては相手に取消権が認められ申込や契約が破棄されてしまうかもしれません。
そのため専門用語や複雑な表現については別の言葉に言い換えて理解ができるように努めること、そしてあえて難解な言葉を使わないようにしてください。
交付書面についても文字の大きさなどに配慮し、読みやすくなるように工夫しましょう。