消費者トラブルの早期解決! 弁護士に依頼するメリット・デメリットとは?
消費者トラブルが発生すると、クレーム等への対応をするだけでなく、ペナルティを受けないよう迅速な改善などにも取り組まなければなりません。トラブルの内容に応じた適切な対応をしなければならず、消費者トラブルへの対処をおろそかにしていると今後の事業活動にも甚大な影響が及ぶおそれがあります。
そこで法令にも則り、できるだけ適切な対応をしていくためには弁護士の利用が欠かせません。この記事でも、消費者トラブルの早期解決に向けて弁護士に依頼を行うことによるメリットを紹介していきます。ただ、弁護士への依頼もメリットしかないわけではありませんので、デメリットに関してもここで言及していきます。
消費者トラブルが発生すると対応に速さと正確性が求められる
消費者トラブル発生後は、とにかく迅速に対応することが大切です。また、単に素早い対応をしたところで、その方策が間違っていては意味がありません。その場に適したアクションをスピーディーに進めていかなければならないのです。
特に、対応する相手が“消費者本人なのか”、それとも“行政庁なのか”によって大きく対応内容は変わってきます。
それぞれ見ていきましょう。
対応する相手が消費者本人の場合
対応相手が消費者本人である場合、基本的には第一段階で「消費者本人との話し合い」、第二段階として「示談交渉」、そして最終段階として「訴訟対応」を行うことになります。
企業の法務担当者や経営者等は早急に、どのように対応していくのかを検討しなければなりません。急いで解決すべき事案なのか、それとも消費者側が不当要求をしている事案なのか、いずれにしろ企業側が間違った対応をすることでインターネットを介して悪評を広められるおそれがあります。
とはいえ悪質なクレーマーに真摯に対応し続けていると従業員も疲弊してしまい、精神的にも追い詰められてしまいます。重要な人材を失いかねないため、企業としては従業員保護の姿勢も持たなくてはなりません。
そのため弁護士に相談し、消費者トラブルに関するアドバイスを受けるようにしましょう。顧問契約を結んでいると初期段階からの対応を任せられますし、自社のことをよく理解している弁護士が対応することでより高い効果が期待できます。
また弁護士が窓口になることで、簡単にクレーマーが言いがかりをしにくい環境を作ることもできます。不当要求をしている消費者であれば、「今後は弁護士とお話していただきます」と伝えるだけで退いてくれる可能性も高いです。示談や訴訟を要する場面でもそのままサポートを受けられるでしょう。
他方で、弁護士がついていることを殊更に示し、高圧的な態度で臨むことは避けなくてはなりません。
対応する相手が行政庁の場合
消費者本人への対応のほか、企業としてその問題を取り除くことが今後の事業活動のためにも大切です。
消費者トラブルや企業活動に関する規制など、様々な法令で行政処分や刑事罰を科すことができるとする規定が設けられています。素早く改善などを行うことでこれらペナルティを避けることができ、逆に対応に遅れることで違反事業者として公表をされることもあります。ペナルティ自体で大きなダメージを受けなかったとしても、その事実が世間に知られることで信用を失い、今後の売上に大ダメージが及ぶおそれがあるのです。
例えば特商法では違反行為があった場合、“業務改善指示”や“業務停止命令”、“業務禁止命令”、そして“事業者名と処分内容の公表”などのペナルティを課されることがあります。
景品表示法違反があると“課徴金”を課されることで違反行為に関わる売上の3%の支払いを求められることがあります。しかしすぐの対応により課徴金の減免などをしてもらう余地もあります。
ただ、関連する法令は多岐にわたり、事業者がすべての法令の内容を理解することは難しいかもしれません。
消費者トラブルを弁護士に依頼するメリット
消費者トラブルに企業の方が独力で対応するのは難しいです。上述の通り企業活動に関する規制をかける法令の種類も多く、各種法令で様々なルールが設けられています。どのような行為が違反行為であり、どのようなペナルティを課されるのか、どのような改善を行うことでペナルティを避けられるのか、すべてを把握するのは困難です。
しかも、行政庁への対応のみならず、その間に消費者本人へのクレーム対応もしなければなりません。
そこで専門性が高い上スピード勝負でもある消費者トラブルに対しては、弁護士に依頼することが望ましいです。弁護士に依頼することで得られるメリットについて、以下で説明していきます。
消費者本人との交渉を代理してもらえる
弁護士に依頼するメリットの1つとして「消費者本人との交渉を代わりにしてもらえる」ということが挙げられます。
トラブルの相手方と直接やり取りをするのは相当なストレスとなります。不当要求をしてくる消費者だとなおさらです。
これに対し間に弁護士が入ると担当者の精神的負担も大幅に軽減されます。また交渉に要する時間も少なくて済みますし、何より法的に適切な交渉ができるようになります。異常に高額な示談金を求められたとしても真っ当な主張によりこれを退けることができます。自社の人員が直接交渉する場合に比べて自社に有利な結果で終結させやすくなると言えるでしょう。
行政庁に弁明するときに書面作成等サポートを行ってくれる
課徴金の減免など、法令上のペナルティを課せられないようにするため、行政庁に対する弁明を行うことになります。
そこで弁護士に依頼するメリットの2つ目として「行政庁への弁明で要する書面作成等のサポートをしてもらえる」ということが挙げられます。
弁護士に、必要書類の準備から書面作成までを一任することができます。担当者が自ら慣れない書面作成をするよりも確実で、各種法令への理解も深いことからミスも防ぎやすいです。
消費者や行政庁に対し異議がある場合、訴訟等のサポートをしてくれる
消費者トラブル解決に臨む姿勢は重要なポイントです。横柄な態度を取っていると、結果的にペナルティを避けることができても、評判が悪くなるおそれがあります。
とはいえ、消費者や行政庁に対して必要以上に下手に出る必要はありません。異議がある場合にはきちんとその旨伝えることは大事です。
この点、弁護士に依頼をすることで「異議がある場合の対応や訴訟等のサポートもしてもらえる」というメリットが得られます。
事案によっては訴訟の前に“調停”と呼ばれる手続を行うケースもあります。基本的には当事者が裁判所に出頭して手続を進行させるのですが、弁護士が代理人になっている場合には当事者が出頭せずに済みます。事業活動をストップさせずに調停手続等を進められるのは大きな利点です。
行政処分後の企業対応について適切なアドバイスがもらえる
行政処分を受けるまでの対応だけではなく、「行政処分後に関しても適切なアドバイスがもらえる」というメリットもあります。
消費者保護法は比較的改正の頻度も高く、社会情勢に併せて変化していくものです。
その場で適切な対応を取ることができたとしても、そのルールは将来にわたり同じとは限りません。常に関連法令を注視していなければならず、事業活動に集中する経営者などがこれに対応するのは困難です。法務担当者はある程度自社に関連する法令の動向には目を向けておくべきですが、日々の法務業務をこなしながら改正法を常にチェックするのは難しいかもしれません。
しかしながら弁護士が付いている場合、特に顧問弁護士がいれば法令の難しい問題に関しては任せられます。法改正を受け、企業の在り方や事業の行い方に変更を要するときにはアドバイスをもらうことができます。
単に法改正を追うだけでなく、適法状態を維持するために取るべき具体的なアクションについても知ることができるのは、弁護士に依頼する大きなメリットと言えます。
弁護士に消費者対応を依頼するデメリット
弁護士に消費者トラブルへの対応を任せることには様々なメリットがありますが、費用の負担がかかったり弁護士探しにかかる手間がかかったりなど、デメリットがないわけでもありません。この点も理解の上、弁護士に依頼することが大切です。
弁護士費用が発生する
弁護士に依頼に関する料金体系は依頼先の法律事務所によって異なりますが、多くの場合「法律相談料」「着手金」「報酬金」「実費・日当」などにわけられます。
- 法律相談料
法律問題に関する相談をするのに要する費用。1時間単位で料金が発生するケースが多い。事務所によって“初回相談無料”や“1時間無料”といったサービスをしているところもある。 - 着手金
弁護士との契約締結時に発生する費用。委任した仕事の結果問わず、事件に着手したことに対する費用。 - 報酬金
依頼した事件が終了した際に、成果に応じて支払う費用。依頼により、依頼主が得た経済的利益に応じて額が定まるケースが多い(例:「成功した損害賠償請求額の〇%」など)。 - 実費・日当
事案の処理に際して支払った諸費用、例えば印紙代や切手代、各種書類の取得に要した手数料などが「実費」として発生する。
また、遠方の裁判所に出頭したときなどには「日当」も発生する。
これら各弁護士費用がどれほどかかりそうなのか、事前に把握しておくようにしましょう。
とはいえ、依頼主の経済的利益を上回る形で料金設定をされていると依頼する意味がなくなってしまいますし、双方に利益が残る形で通常は設定されています。
特に消費者トラブルに関しては弁護士に依頼せずペナルティを課されてしまうと、弁護士費用どころではない大きな経済的損失を生む可能性が高いです。弁護士費用は発生するものの、依頼することで全体としてはプラスになることも考えれば、大きなデメリットではないとも考えられます。
消費者トラブルに対応する弁護士を探す必要がある
弁護士にもそれぞれに得意分野があります。
医師に外科や内科、眼科といった専門領域があるのと同じように、弁護士にも特に強みとしている領域があるのです。刑事事件の解決を専門に取り扱っている弁護士もいれば、離婚などの家庭問題を専門に取り扱っている弁護士、そして消費者トラブルなど企業法務を専門に取り扱っている弁護士など様々です。
そのため「弁護士に依頼すれば万事解決だ」と安心するのではなく、「どの弁護士が消費者トラブルに強いだろうか」という目線で弁護士探しを行わなければなりません。
その判断は簡単ではなく、今まさに消費者トラブルに追われているという最中事案に適した弁護士探しをしなければならないというのは大変な作業です。
トラブルが起こってから急いで消費者トラブルに精通した弁護士を見つけようとしてもなかなか難しいかもしれません。
消費者トラブルでお困りの場合には当事務所へご相談ください
「今、消費者トラブルに悩んでいるがなかなか依頼先が見つからない」「今後のトラブルに備えて消費者トラブルに強い弁護士と繋がっておきたい」とお考えの方は、ぜひ当事務所にご依頼ください。
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