消費者から「詐欺だ」とクレームがあったとき企業はどう対処すべき?
「詐欺だ」「騙された」というクレームを突きつけられると動揺するかもしれません。しかし事業者としては、消費者からの要求内容・主張を客観的に評価して冷静に対処していくことが求められます。
会社、そして従業員を守るためにも適切な対処法を理解しておきましょう。
まずは主張内容を丁寧に聞き取る
今後の対応方針を判断するためにも、消費者が何に対して「詐欺だ」と感じているかを具体的に確認していくことが大切です。その上で、企業側の表示内容や説明内容、契約内容に照らして事実関係を整理していきます。
たとえば次のような主張内容であるなら、自社に法的な問題がある正当なクレームである可能性があります。
- 「商品・サービスの性能や効果について、事実と異なる説明や広告表示があった」
→ 消費者契約法や景品表示法違反の可能性 - 「重要事項や不利益となる事実を告げられないまま契約をさせられた」
→ 消費者契約法違反の可能性 - 「通信販売・訪問販売において一定の事項の告知を受けていなかった」
→ 特定商取引法違反の可能性
一方、事実関係を確認した結果、自社の説明や表示に問題がなく、顧客側の誤解や事実と異なる前提に基づく主張であれば、その点を丁寧に説明して理解を促します。
またこの段階で重要なこととして「説明の内容と顧客の反応を記録しておくこと」が挙げられます。後から「何も説明がなかった」と主張されたとしても根拠を持って反論することができます。
「詐欺」に対する正しい理解
「詐欺だ」という主張にはぎょっとするかもしれませんが、このような主張の多くは厳密な意味で詐欺罪を指しているわけではありません。「期待に反した」「不満がある」という感情を強く表しているにすぎないケースが多いです。
刑法が定める詐欺罪が成立するには、①相手を欺く行為、②それによって相手が勘違いすること、③勘違いに基づいて財物や利益が移転すること、④行為者の故意(=だますつもり)、という要件をすべて満たす必要があります。
説明が不十分だった、商品の使い勝手が期待と違った、といった状況で消費者が「騙された」と感じたとしても、刑法上の詐欺罪にまで該当するケースは多くありません。
担当者がこうした表現に動揺して過剰な謝罪や補償に走ってしまうと、後々「あのとき認めた」という口実に使われかねません。表現や言い方の強さに戸惑うことなく、落ち着いて対応しましょう。
「詐欺」が不当な要求の手段として使われることもある
「詐欺」という言葉は、要求を通すため圧力をかける意図で使われることがあります。
正当な根拠がないにもかかわらず強い言葉で萎縮させ、金銭補償など過大な対応を求めてくるときは、不当なクレームとして対処しましょう。
不当であるかどうかは、①要求の内容が妥当かどうか、②手段や態様が社会通念上相当かどうかという2点から判断するのが基本です。
ただ、感情的になっている顧客に対して「要求内容が妥当ではない」などと即座に指摘するのは逆効果になることも多いです。まずは冷静に、真摯に対応する姿勢を見せることが現場では必要になってくるでしょう。
「警察に被害届を出す」と言われたときは?
「詐欺で訴える」「警察に行く」という言葉が出てくることがあります。
正当な根拠に基づいて警察に申告したり、相談したりすること自体は消費者に認められた行為であり、それ自体を問題視する必要はありません。
一方で、こうした発言が根拠のない要求を通すための脅し文句として使われている場合は、不当な圧力として毅然と対応することが求められます。
いずれにしろ、こうした発言が出たときは担当者単独での判断は避けましょう。社内でのエスカレーション、そして弁護士に相談した上で対応方針を決めることが大切です。
「SNSに書く」「ネットに拡散する」と言われたときは?
事実に基づく口コミや評価を投稿することも、消費者による表現の自由の範囲内であり、その行為自体を特段問題視する必要はありません。
問題になるのは、事実と異なる内容を拡散するケースや、投稿や拡散を交渉材料に金品や一定の対応を要求してくるケースです。
前者であれば、名誉毀損や業務妨害の罪が成立する可能性があります。後者についても、態様によっては恐喝罪のほか脅迫罪や強要罪などの問題が生じる場合もあります。
ただし、一概に断定できるものではありません。具体的な発言の内容・文脈・状況を踏まえた法的判断が必要ですので、できる限り記録を残した上で弁護士のアドバイスを求めることが推奨されます。
弁護士への早期相談が法的リスクを下げる
詐欺の主張は、消費者がただ強く非難する目的で使っている可能性もありますが、実際に詐欺に該当する可能性や別の法に抵触する行為を現場でしてしまっている可能性もあります。
また、自社に非がなくても消費者の行き過ぎた行為により名誉毀損などの損害が生じる危険性もあります。
そのため無下に扱うことなく、クレーム内容をよく聞き、慎重に対応方針を考える姿勢が求められます。早期に弁護士が関与することで法に則った適切な評価が可能となりますので、法的リスクを低減するためにも早めのご相談をおすすめします。








