モンスタークレーマーは刑事告訴できる?告訴の要件や注意点を解説
モンスタークレーマーの行為が悪質で、犯罪に該当する場合、刑事告訴することは可能です。
具体的にどのような行為が犯罪にあたるのかここで紹介するとともに、告訴の検討にあたって留意すべき大事なポイントをここで解説していきます。
刑事告訴の対象となり得る行為例
顧客による行為が以下の犯罪行為に該当する場合、刑事告訴も検討すると良いでしょう。比較的起こりやすい行為例を下表にまとめました。
罪名 |
モンスタークレーマーの具体的な行為例 |
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脅迫罪 (刑法第 222条) |
「殺す。」「店に火をつけてやる。」など脅す。 |
強要罪 (刑法第 223条) |
「サービスを無料で提供しろ。」「土下座をしろ。」「謝罪文を書け。」などと義務のない行為を強制する。 |
恐喝罪 (刑法第 249条) |
「出て行って欲しいのなら金を払え。」「誠意を見せろ。」などと金銭を要求する。 |
威力業務妨害罪 (刑法第 234条) |
店内で騒ぐ、従業員を恫喝する、長時間にわたり執拗に苦情を繰り返す、など行為により業務を遂行できなくさせる。 |
不退去罪 (刑法第 130条後段) |
「言い分を受け入れてくれるまで帰らない。」などと、再三の退去要請を無視し強引に居座り続ける。 |
名誉毀損罪 (刑法第 230条) |
従業員の実名を SNS上にあげて誹謗中傷をする、口コミサイトに事実無根の悪評をアップする、などの行為によって従業員個人あるいは法人の社会的な評価を毀損する。 |
ここに掲げた行為のほか、たとえば暴力を振るった場合や店の物を壊した場合などにも犯罪が成立します。
刑事告訴にあたっての注意点
刑事告訴は、モンスタークレーマーに対する有効な対策の1つではありますが、いくつかの注意点があります。
刑事告訴を検討する際は以下で紹介する点も考慮してください。
必ず処罰されるとは限らない
刑事告訴をしたからといって、必ずしもモンスタークレーマーが処罰されるわけではありません。
検察が証拠不十分と判断した場合、犯罪が成立しないと判断した場合には、告訴自体は受け入れられても最終的に不起訴処分となってしまいます。
また、起訴されても、裁判の結果無罪判決が出る可能性もゼロではありません。
刑事告訴はあくまでも捜査のきっかけとなる行為であり、クレーマーに対する処罰を保証する行為ではないことに留意してください。
告訴側にも負担がかかる
刑事告訴を行ったことにより、告訴をした側である事業者にもさまざまな負担が発生します。
たとえば、警察や検察からの事情聴取に対応したり、調書作成に協力したり、時間と労力を要することになります。
また、裁判では証人として出廷することを求められる可能性もあります。
また、被告人側からの反論や対抗措置への対応、弁護士費用の発生、訴訟への関与による企業イメージへの影響なども考慮して、告訴を行うかどうかを慎重に判断しましょう。
告訴以外の対策も検討する
刑事告訴は、モンスタークレーマー対策の1つの選択肢に過ぎません。状況によってはほかの方法による方がより効果的である場合もあります。
たとえば、民事訴訟を提起して損害賠償を求めることは直接的に被害額を補填するために効果的といえます。また、いきなり訴訟を提起するのではなく、裁判所を介さず話し合う(示談交渉)ことで解決ができればよりスピーディかつ負担も小さくすることができるでしょう。
弁護士に相談する
刑事告訴の必要性の判断や手続きに関しては、専門的な法律知識が必要となります。
そのため、刑事告訴を検討する際には弁護士に相談することもご検討ください。
弁護士は事案に対する法的評価を行い、証拠が十分であるかどうか、有罪にできそうかどうかなど的確な助言をすることができます。
自社だけで判断するのが難しいことも多く出てくると思われますが、弁護士がついていればスムーズに処理を進められるでしょう。
刑事告訴の基本的な手順
モンスタークレーマーを告訴する場合、基本的には次のような手順で手続きを進めていくことになるでしょう。
詳細は事案によっても異なりますので、弁護士に相談しながら進めていくと良いです。
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証拠の収集
・・・まずは「モンスタークレーマーの行為が犯罪に該当する」ということを客観的に示せる証拠を収集する。たとえば以下のようなものが有力な証拠となる。- 防犯カメラの映像
- 目撃者の証言
- 通話の録音
- 脅迫メール
- SNSへの書き込み
- 診断書(暴行や傷害の場合)
- 被害品や現場の写真
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告訴状の作成
・・・収集した証拠に基づいて告訴状を作成。告訴状には以下の内容を記載する。- 告訴人の情報
- モンスタークレーマーの情報
- 犯罪行為の詳細(日時、場所、内容)
- 被害の状況
- 処罰を求める旨
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警察への提出
・・・作成した告訴状を、犯罪が発生した地域を管轄とする警察署に提出。
その後、警察のほうで告訴状が正式に受理されると捜査が始まりますので、捜査の内容や起訴の判断などについては捜査機関に任せることとなります。