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飲食店で悪質な行為をする客への対応| 初期対応やその後の法的措置について解説

お客さんが店で迷惑行為をしてSNSで炎上するという事件が、ここ数年だけでも多く発生しています。他のお客さんに不快な思いをさせる行為、従業員に暴言を吐いたり暴力を振るったり、土下座を強要したりする行為も問題になっています。

 

とりわけ飲食店だとお客さんと接する機会も多いため、悪質な行為に遭遇してしまうリスクが高いです。被害を防ぐための措置、被害を拡大させないために重要なことをここで押さえておきましょう。

 

飲食店での悪質行為の例

飲食店での発生が予想される悪質行為には、次のような例が挙げられます。

 

  • 卓上の紅ショウガやワサビに直接手で触れたり口を付けたりする
  • 卓上の調味料をまき散らす
  • 口を付けた湯呑を置いてあった場所に戻す
  • 従業員に対して暴言を吐く
  • 飛沫防止用のアクリル板を破壊する
  • 店内で他のお客さんと喧嘩する
  • 従業員のミスに対して土下座や金銭の支払いを要求する

 

他にも多種多様な行為が発生すると考えられますし、このような行為は実際に飲食店で発生しています。

 

初期対応で重要なこと

大衆向けの飲食店だと特に幅広い客層が来店してきますし、常に迷惑行為のリスクにさらされています。お店に被害が出るだけでなく他のお客さんにも不快な思いをさせてしまいますし、衛生状態にも注意が必要です。

 

多方面に配慮しつつ対応しなければならず、現場にいる従業員には大きな負担がかかってしまうでしょう。臨機応変な対応が求められますが、次に挙げるポイントは共通認識として持っておくことが大事です。

 

放置をしない

「注意すると逆ギレしてくるかもしれない」「大事になるのは避けたい」と考えることもあるかもしれません。しかし、放置は良くありません。

 

放置することには多くの弊害があります。スタッフを守ることができませんし、他のお客さんにストレスを感じさせてしまいます。その結果、従業員が定着しづらく、客離れも起こってしまいます。

 

また「迷惑客がいても注意してくれないお店だ」との印象を周囲のお客さんから持たれてしまい、口コミなどで広められてしまう可能性もあります。

 

冷静・丁寧な対応

悪質な行為をはたらく客を放置すべきではありませんが、だからと言って感情的に強い物言いをしてはいけません。お客さんの熱量が高くても、お店側は冷静であり続けるべきです。不当な要求、暴言を吐いてきても丁寧な対応を心がけましょう。

 

言い合いになってしまうと暴力を振るわれたり、評判を落としてしまったり、より事態が深刻化するリスクがあります。

 

また、迷惑行為をしているお客さんの中には悪意がないケースもありますし、テンションが上がって周囲に迷惑がかかっていることに気付けていないケースもあります。このような場合、丁寧に声をかけるだけで止めてくれることも多いです。

 

他のお客さんへの配慮

迷惑客への注意を行いつつ、他のお客さんへの配慮も忘れないようにしましょう。できれば周囲に聞こえないようにテーブル近くへ行き、小さな声で「お声かけ」をします。

 

そして他のお客さんがその後気持ちよく過ごせるよう、注意した事実を伝えたり、席の移動を提案したりしましょう。

 

危険性があるときは警察に通報

丁寧で落ち着いた対応だけでは被害が広がってしまうケースもあります。そこで次のようなケースでは警察への通報も検討しましょう。

 

  • 店内で喧嘩を始めて暴れている
  • 酔っぱらって店の物を破壊している
  • 物を投げたり水をかけたりしている
  • 怒りが収まらずいつまでも店に居座っている など

 

警察への通報には抵抗を感じるかもしれませんが、感情が抑えられず暴れているような客がいると怪我人が出る危険性があります。早めに警察を呼ぶという決断をすることも大事です。

 

迷惑客へのその後の対応

迷惑客に対する現場での対応だけでなく「出禁」や「法的措置」も検討しましょう。悪質な行為をはたらいた張本人による今後の被害を防ぐだけでなく、厳格な態度を取ったという事実が今後の予防にもなります。

 

出禁にする

お店に損害を与えるような悪質行為をはたらいた人物、また、何度注意しても迷惑行為を繰り返す人物などは出禁にすることも視野に入れるべきです。

 

ただし、安易に出禁判断を下してしまうと「不当に差別的扱いをしている」と主張される危険性がありますので、本当に必要なケースでのみ行いましょう。

 

法的措置を採る

お店の物を壊す、店内の衛生状態を悪くする、などの行為は「不法行為」にあたります。この不法行為によって損害が発生したときは、加害者に対して損害賠償請求を行うこともできます。
悪質な行為により被害が発生しているときは、弁護士のサポートを受けつつ、損害賠償請求の手続も進めましょう。

 

また、特に悪質・ひどい行為が「業務妨害罪」「威力業務妨害罪」「器物損壊罪」などに該当するケースもありますので、刑事処分を求めて告訴することも検討しましょう。

 

従業員に任せず組織として対策を立てることが大事

飲食店で悪質な行為が発生したとき、主に対応するのはその場にいる従業員です。そのため経営者の方だけが適切な対応方法を知っていてもあまり意味はなく、その知識を従業員に共有しなくてはなりません。

 

従業員に任せっきりだと負担もかかってしまいますし、トップや経営陣が対策を練り、マニュアル作成などを進めましょう。その際、消費者問題に強い弁護士を頼ると法的な問題に悩むこともなくなります。
そして悪質な客に出会ったときの対応方法について共有し、教育すること、さらに適切にマニュアルが運用できていることのモニタリングなども実施しましょう。

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岡本 仁志(おかもと まさし)
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  • 所属団体
    • 大阪弁護士会所属
    • 大阪弁護士会消費者保護委員会委員および裁判員本部委員
    • 刑事弁護委員会委員
    • 大阪大学法曹会幹事
    • 大阪青年会議所
  • 経歴

    大阪大学法学部卒業

    2005年(平成17年)11月 司法試験合格

    2006年(平成18年)4月 司法修習生(60期)

    2007年(平成19年)9月 大阪弁護士会に弁護士登録

    2015年(平成27年)7月 岡本仁志法律事務所開設

    2020年(令和2年)7月 法律事務所桃季開設

事務所概要

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