特定継続的役務提供への対応策
特定継続的役務提供については、以下の行政規制がなされており、事業者がこれらに反しないようにサービスを行う必要があります。
①必要事項を記載した書面の交付義務(特定商取引法第42条)
契約を締結するまで(概要書面)と契約締結時(契約書面)の2回、法律に定める事項を記載した書面を交付することが義務付けられています。概要書面とは、当該契約の概要が記載された書面であり、契約書面とは、契約内容について明らかにした書面です。
上記書面においては、消費者に対する注意事項として、書面をよく読むべきことを赤枠の中に赤字で記載しなければならず、また、契約書面におけるクーリング・オフの事項についても赤枠の中に赤字で記載しなければなりません。さらに、書面の字の大きさは8ポイント(官報の字の大きさ)以上であることが必要です。
②誇大広告等の禁止(特定商取引法第43条)
事業者は、次の事項について、著しく事実に相違する表示をしたり、実際よりも著しく優良又は有利と誤認させるような表示をしてはなりません。誇大広告等による消費者トラブルを未然に防止するためです。
③勧誘行為における禁止行為(特定商取引法第44条)
・契約の解除を妨げるために、事実と違うことを告げること(不実告知)。
・勧誘時に故意に事実を告げないこと。
・契約の解除を妨げるために、相手を威迫して困惑させること。
④書類の閲覧(特定商取引法第45条)
消費者が事業者の財務内容などについて確認ができるよう、前払い方式で特定継続的役務提供を行う事業者に対して、「貸借対照表、損益計算書及び営業報告書」などの書類を備え付けることが義務づけられています。
また、前払い方式で契約した消費者は、それらの書類を閲覧でき、実費を支払ってそのコピーを求めることができます。
⑤行政処分(特定商取引法第46条、第47条)
上記の①から④の規制や、事業者が消費者の利益を害する行為をすると、主務大臣又は都道府県知事から指示・業務停止命令といった行政処分を課せられる場合があります。
⑦クーリング・オフ制度(特定商取引法第48条)
⑧中途解約と損害賠償等の上限(法第49条)
消費者は、クーリング・オフ期間を経過した後も、理由のいかんを問わず、役務の提供を受けていない部分について契約を解除(中途解約)することができます。また、関連商品の販売契約についても中途解約できます。
また、中途解約の場合に、事業者が消費者に請求できる解約料の上限も定められています。
中途解約などを巡る消費者とのトラブルを回避するためにも、これらの規制を念頭に入れつつ契約をすることが、特定継続的役務提供に対する対応策として重要となります。
法律事務所桃李では消費者トラブルに関する相談を承っております。お困りの方はお気軽にご相談ください。