暗号資産の投資事業を始める前に知っておくべき法的規制について
暗号資産の投資に関する事業に取り組むのであれば、法令上の規制には十分注意しなくてはなりません。特に投資関連の事業だと、一定の事業を行うときは行政機関に対する登録手続きも必要となります。事業を始める前に、法的なポイントをチェックしておきましょう。
暗号資産に関わる事業は法律で規制されている
暗号資産を扱う事業には、主に「資金決済法」という法律が適用されます。
この資金決済法は、電子マネーやプリペイドカード、デジタル送金など、銀行以外の事業者が提供する新たなキャッシュレス決済サービスについて、利用者保護および円滑な決済を目的とした法です。
暗号資産の取引にも関わる、利用者財産の保護・適切な取引環境整備のためのルールが設けられています。
過去に暗号資産の取引所が破綻したり、不正アクセスにより顧客の資産が流出したりした事件もありますし、そういった問題を防ぐため、一定の事業を行う場合には国の監督を受ける仕組みが整備されているのです。
暗号資産関連の事業を始めるときも、「これくらいなら大丈夫だろう」という自己判断で進めてしまうと後になって法令違反が発覚するリスクがあると理解しておきましょう。
どのような事業が規制対象か
暗号資産に関連する事業といっても、その内容はさまざまです。すべての事業が同じように規制されるわけではなく、事業の形態によって適用される法律や求められる手続きが異なります。
「暗号資産交換業」の運営
暗号資産交換業とは、簡単に言えば「暗号資産と法定通貨(日本円など)を交換したり、異なる暗号資産同士を交換したりする事業」のことです。
たとえば、顧客からビットコインを買い取って日本円を支払う、あるいは顧客に暗号資産を販売する、といった行為が該当します。
また、「他人の暗号資産を管理する行為」も該当します。顧客の暗号資産を預かって保管(いわゆるカストディ業務)するときも、原則として登録が必要となります。
「投資助言」や「ファンド」の運営
暗号資産への投資についての助言を行ったり、投資家から資金を集めて運用したりする事業も、内容によっては規制対象となることがあります。このケースでは「金融商品取引法」という別の法律が関わってきます。
たとえば、「この暗号資産を買えば儲かる」といった具体的な投資判断の助言を有償で行う場合や、複数の投資家から資金を集めて暗号資産で運用するファンドを組成する場合などが挙げられます。
たとえば、暗号資産デリバティブ取引(価格変動を利用して利益を狙うレバレッジ取引など)に関する具体的な投資判断の助言を有償で行う場合や、複数の投資家から資金を集めて暗号資産で運用するファンドを組成する場合などが挙げられます。
登録制度の仕組みや事業者の義務
暗号資産交換業に該当するときは資金決済法に基づく登録申請が必要です。
申請すれば必ず認められるというものではなく、一定の要件を満たしているかどうかが法令に照らし厳格に審査されます。
そこで登録申請にあたって、事業計画や財務状況、システムの安全性、役員の適格性など、多岐にわたる資料を提出しなくてはなりません。また、審査には数ヶ月以上かかることもあり、その間、事業は開始できません。
さらに、登録後も定期的な報告義務や立入検査への対応など、継続的なコンプライアンス体制の維持が求められます。
顧客の本人確認
登録を受けた事業者に課される具体的な義務の1つとして、「顧客の本人確認」が挙げられます。
事業者は取引を行う顧客について、本人確認を行わなければなりません。運転免許証などの身分証明書の提示を求め、本人であることを確認。その記録を保存する必要があります。インターネットを通じた取引であっても本人確認は欠かせません。
顧客に対する説明義務
暗号資産は価格変動が大きく、投資経験の少ない方だとリスクを十分に理解しないまま取引を始めてしまう危険があります。
そこで事業者には、取引のリスクや手数料について、顧客に対し適切に説明する義務が課されています。
契約前に書面を交付して重要事項を説明したり、取引の記録を顧客に提供したりすることが求められます。顧客が理解しないまま取引を始めることがないよう、丁寧に対応しましょう。
顧客資産の管理は厳重に
暗号資産交換業者が特に配慮すべき義務が、「顧客から預かった資産の適切な管理」です。
顧客の資産と事業者自身の資産は明確に分けて管理(分別管理)する義務がありますし、ハッキングのリスクを低減するため顧客から預かった暗号資産の大部分についてインターネットから切り離された環境で保管する、といった管理体制も求められています。
専門家との連携で法令遵守を徹底しよう
暗号資産に関わる事業には多くの法規制が適用され、事業者はそれら一つひとつのルールに準拠しなくてはなりません。法律の解釈が難しい場合もありますし、自身の事業が特定の規制に該当するかどうかの判断自体が難しいケースもあります。
そのため違法状態を回避して顧客や業界からの信用を得るためにも、弁護士など、当該事業に詳しい専門家に相談することが推奨されます。どのような法規制が適用されるのか、どのような手続きが必要なのか、弁護士と連携しながら安全に事業を運営していきましょう。









