トラブルにならない電話勧誘販売
電話勧誘販売は、消費者にとっては、強引な営業トークによって不本意に契約を締結させられたと感じるケースも少なくなく、トラブルが後を絶ちません。そして、強引な手法で商品購入の勧誘をすると、それが違法行為に該当し、会社全体の評判を落とす可能性もあります。そうならないためにも、電話勧誘販売に適用される「特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」とする。)」の規定を遵守することが重要となります。
特定商取引法は、事業者から営業を働きかける取引に適用されます。電話営業についても、資格講座等の執拗で巧妙な電話勧誘が社会問題になったことがきっかけとなり、「電話勧誘販売」として規制されています。
以下では、特定商取引法において特に気を付けるべき事項を紹介します。
■氏名や勧誘目的であることの明示
特定商取引法では、事業者が電話勧誘をする際は、勧誘に先立って、次の事項を明らかにするよう定めています(特定商取引法第16条)。
①事業者の氏名または名称、勧誘を行うものの氏名
②商品・権利・役務の種類
③勧誘を目的としていること
これらは、勧誘に先立って消費者に最初に伝えるべき事項です。したがって、勧誘が目的であることを後回しにして、勧誘に関係のない世間話やアンケートなどを通じてコミュニケーションを図ったうえで勧誘をする行為は法律違反になります。
■再勧誘や勧誘の継続の禁止
特定商取引法では、電話営業販売で相手が売買契約をしない意思を示した場合、事業者はその契約について、さらに勧誘を続けたり、改めて勧誘の電話をしたりすることが禁じられています(特定商取引法第17条)。
契約を締結しない意思とは、商品に対する興味がない等、商品への拒絶にくわえ、電話勧誘自体への拒絶をも含みます。
■その他の注意すべき特定商取引法上の禁止行為
特定商取引法では、電話勧誘販売において以下の禁止行為を定めています(特定商取引法第21条)。
①故意に事実を告げない行為
②不実のことを告げる行為
③脅迫による契約締結や解約の妨害行為
上記の行為を行った結果、消費者が事実を誤認して申し込みをした場合、消費者は、その意思表示を取り消すことができ、また、申し込みや承諾の意思表示の取消しを請求することもできるため(消費者契約法第4条)、消費者トラブルに発展してしまう可能性が非常に高いです。
これらの事項を無視して電話勧誘販売をしてしまうと法令違反に問われることがあるため、常に特定商取引法を念頭においたうえで、勧誘を行う必要があります。消費者に誤解を与えるような不明瞭な商品説明や、強引な勧誘を厳に慎み、特定商取引法を意識して販売を行うことが、消費者トラブルの回避につながります。
法律事務所桃李では消費者トラブルに関する相談を承っております。お困りの方はお気軽にご相談ください。