電子商取引を行う企業の注意点
電子商取引とは、インターネットをはじめとした電子的なネットワークを介して行われる商取引をいいます。実店舗を必要とせず、さまざまな地域からの顧客を獲得できるため、近年急速に拡大している取引ですが、電子商取引ならではの規制があるので、注意が必要です。
通常、人が取引を行う場合は、相手の様子や企業の雰囲気などを実際に目で見て判断し、取引を行うかどうかを判断しますが、電子商取引ではそれができません。また複雑な操作や紛らわしい表示によって消費者の意図しない取引が行われるおそれがあります。さらに「なりすまし」による詐欺被害の問題も生じかねません。
そこで、電子商取引では消費者の保護を図るため、「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」(電子契約法)、「電子署名及び認証業務に関する法律」(電子署名・認証法)などの制度が設けられています。これにより、操作ミスなどによる意思表示の無効が認められやすくなり、事業者は例えば「確認画面」といった意思確認のための措置を講じなくてはなりません。平成29年民法改正(債権法改正)により変更された部分もあるため、今一度確認するようにしましょう。
「通信販売」という点では、特定商取引法の規制対象でもあります。具体的には、広告規制として、一括表示の原則(同法11条)、誇大広告等の禁止(同法12条)には注意が必要でしょう。
通信販売の場合は、特定商取引法におけるクーリングオフ制度の対象とはなりません。しかし、近年の法改正で商品到着後8日以内の商品については返品制度が導入されており(同法15条の3)、事業者が返品させたくないと考えるのであれば、通信販売をする際の広告に、あらかじめ「返品できない」旨の記載を行う必要があります。
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