景品表示法違反が発覚してからの流れとペナルティについて解説
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)は、不当な表示等を防ぎ、一般消費者の利益を保護するための法律です。製品やサービスの内容・品質・価格に関する偽りあるいは過大な表現がないように規制をかけており、事業者としては同法の内容に留意しつつ表示等を行う必要があります。
それは消費者に安心してもらうため、信頼してもらうためということでもありますが、ペナルティを課せられるリスクがあるため、これを避ける上でも大切なことなのです。
この記事では同法違反が発覚してからの流れやペナルティの内容について解説していきますので、具体的なリスクを把握するためにもぜひ一読下さい。
景品表示法を違反した場合の流れとは?
景品表示法に違反した場合、①通報、②調査を受ける、③処分を受ける、という流れで進んでいきます。
STEP1.消費者等からの通報
通報をきっかけに同法違反の事実が消費者庁に知らされます。一般消費者から通報されることもあれば、同業他社から通報されることもあります。
全国にある公正取引委員会事務総局でも通報を受け付けており、同法違反に関する通報の窓口は広く設けられています。
また通報の手段としてオンラインフォームが用意されていますので、必ずしも電話や郵送で行うことまでは求められていません。そのため事業者としては、いつ通報されるかわからないという危機感を持つことが大切です。
STEP2.消費者庁等の管轄庁が調査を行う
通報が入り、確かに同法違反がありそうだと考えた場合、消費者庁は調査を始めます。なお、同法に関する取り締まりを主に担っているのは消費者庁ですが、都道府県、あるいは公正取引委員会が取り締まりを行うこともあります。
調査では資料を集め、必要に応じて事業者への聞き取りなども行われます。
さらには、同法第29条第1項で認められている立入検査が行われることもあります。事業者には立入検査を拒否する権限はなく、拒絶しているとさらに同法37条違反として別のペナルティを課せられる可能性が出てきますので注意しましょう。
STEP3.消費者庁や都道府県が対応を決める
調査結果から、消費者庁あるいは都道府県が対応を決めます。
違反の内容によって具体的な対応は異なり、注意を受ける程度で済むこともあれば、金銭的な負担を強いられることもあります。
景品表示法違反となった場合のペナルティ
景品表示法違反によるペナルティの詳細を以下で見ていきましょう。
指導・指示・注意等
今後違反につながるおそれがある、という場合には「指導」や「注意」を受けることがあります。
指導や指示、注意だけで済めば大きな問題にはなりません。報道発表もありませんし、すぐに対応することで適法な状態を維持することができるでしょう。
措置命令(売上額が5,000万円未満の場合)
措置命令とは、「違反行為の差止め」や「再発防止策の策定」などの命令を指します。
これら措置命令が出された場合にはその内容が公表されます。企業の信頼を落としてしまったりイメージが悪くなってしまったりというリスクを伴います。
なお、課徴金納付命令が出される事案であったとしても、違反行為から生じた売上額が5,000万円未満(課徴金額が150万円未満)であるなら課徴金納付命令ではなく措置命令のみが課されます。
課徴金措置
「不当表示規制」に違反したときは、課徴金納付命令に付されます。つまり国に対してお金を支払わなければならないのです。
そしてこのとき支払うべき額は、同法違反行為から得た売上に対応します。具体的には、不当表示規制に違反する表示を出していた期間を対象に「違反表示に関して得た売上の3%」と定められています。
事業規模によっては非常に大きな金額となります。
ただ、違反の事実につき自主的に消費者庁長官に報告すれば課徴金額を1/2に減額することが可能です。
また、返金措置に関する計画を立て、消費者庁長官から認定を受けるなど所定の手続に従い消費者に返金を行えばその分は減額されます。あるいは違反事業者が相当の注意をしていたことの証明をすることで課徴金の納付が免除されることもあります。
景品表示法を違反して刑事責任を問われるケース
景品表示法違反により、刑事責任を問われるケースもあります。ただし即座に刑務所に入れられるなどの刑事罰が科されるわけではありません。
上記措置命令に対し従わない、その他命令に従わないという状況が続き、その後さらに刑事裁判により審理を受けてからの処分となります。
懲役若しくは罰金刑が科せられる
同法違反につき、措置命令を受けても従わずそのまま違法な表示を続けると、刑事罰として「2年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」に処されるおそれがあります。
また、措置命令により報告義務が課せられたにもかかわらず所定の報告等を行わない、もしくは虚偽の報告等をしたときには「1年以下の懲役」または「300万円以下の罰金」が予定されています。
この懲役の期間や罰金の額は上限の値であり、基本的には裁判の結果これより小さくなると考えられます。また、よほど悪質であったり何度も同じことを繰り返していたりという事情がなければ実刑になる可能性は低いと考えられます。
しかしながら起こり得ないことではありませんし、法定刑の上限である2年間、刑務所に入ることを命じられる可能性があるということは認識しておきましょう。
法人に対し3億円以下の罰金が科せられる可能性がある
上の刑事罰は、個人に対する処分内容です。
他方で、法人に対しても罰則が科されることがあります。法人の場合懲役に処することはできないため罰金刑のみの規定ですが、その額は自然人のそれと大きく異なり、最大3億円もの罰金が法定されています。
個人に対する刑罰に併せて科せられることもありますし、課徴金の納付とも別の問題ですので、同法違反には金銭的にも大きなリスクが伴うと理解し適切な対応を取るようにしましょう。
景品表示法違反の連絡を受けた場合には当事務所へご相談ください
措置命令や課徴金などを命じられたとしても、迅速に適切な対応を取ることで大きな問題に発展する前に収束させられるかもしれません。刑事責任の追及を避けること、また、課徴金の減額もできる可能性があります。
ポイントは早めの対応です。そこで、景品表示法違反の連絡を受けたときにはまず弁護士に相談することが大切です。当事務所にご相談いただければ景品表示法に精通した弁護士がサポートいたします。また事後対応のみならず、事前のリーガルチェックにより予防を図ることもできます。
意図せず、知らないうちに違反をしてしまっているケースもありますので、プロに任せてペナルティを課せられないようにしましょう。