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マッチングアプリでサクラを使うと詐欺になる?事業者が知っておきたい法的リスク

マッチングアプリの運営でサクラを使うことには、刑法上の詐欺罪成立や景品表示法に抵触する可能性があり、法的に大きなリスクが伴います。民事・刑事の両面から責任を問われるおそれもあり、多大な損失につながることもあります。

重大なトラブルを起こさないよう、法律上のルールを押さえておきましょう。

 

法的にサクラは何が問題なのか

サクラとは、あるサービスの運営者自身あるいは運営者が雇った人物が、一般会員を装うことを指します。

 

マッチングアプリにおいては、一般会員を装ったサクラが本当のユーザーとやり取りを行うケースが多いでしょう。利用者にポイントを購入させたり有料プランへの課金を促したりして、運営側の収益を増やすことが最終的な目的です。

 

この行為が法的に問題となる理由は、利用者の判断を欺いている点にあります。

 

利用者は、やり取りの相手が真剣に出会いを求めている一般会員だと信じてサービスを利用し、対価を支払っています。しかし実際には、相手は運営側の意図で動くサクラであり、利用者が期待する出会いは実現されません。

 

利用者から見れば「騙されてお金を払わされた」ことになりますので、刑法上の詐欺罪が成立したり景品表示法上の不当表示として規制対象となったりすることもあるでしょう。

 

サクラには詐欺罪成立の危険性がある

詐欺罪が成立するのは、サクラ行為により次の要件が満たされる場合です。

 

要件

内容

欺罔行為

・人を欺き騙す行為

・サクラの場合、一般会員を装うこと

錯誤が生じる

・被害者が欺罔行為により騙されている状態

・利用者が相手を本物の会員だと信じること

財産の交付

・錯誤に基づいて財産を差し出すこと

・ポイント購入代金の支払いなど

財産の移転

・被害者の財産が加害者へと移転すること

・運営者への金銭の移転

 

こうして要件を並べてみると、多くのケースでサクラが詐欺に該当し得るということがわかるかと思います。

 

また、サクラとして活動した個人も詐欺罪の共犯または従犯となる可能性もあります。会社の指示であっても、詐欺の実行に関与することで刑事責任を問われることもあると理解しておきましょう。

 

サクラには景品表示法違反の危険性がある

サクラの使用には詐欺罪成立のほか、景品表示法に抵触する可能性もあります。

 

マッチングアプリでサクラを使用する場合、「多数の異性会員がいる」「真剣な出会いを求める人が登録している」といった表示の実態が伴わず、利用者を誤認させることになるためです。具体的には「優良誤認表示」と呼ばれる類型に該当すると考えられます。

※優良誤認表示とは、「商品やサービスの品質や内容について、実際より著しく優良なものと誤認させる表示」のこと。

 

景品表示法違反には、事業者にとって次のリスクが伴います。

 

  • 措置命令を受ける
    ・・・違法な表示の差し止め、一般消費者への周知徹底、再発防止策の実施などを命じられる。措置命令に従わない場合、拘禁刑または罰金刑が科される。
  • 課徴金納付命令を受ける
    ・・・不当表示によって得た売上のうち一定割合を課徴金として納付する義務が生じる。サクラにより大きな売上を出しているほど負担額も大きくなる。
  • 社会的信用を失う
    ・・・措置命令や課徴金納付命令が行われたという事実は公表されるため、企業のブランドイメージが大きく損なわれる。

 

違法な行為をしていたという事実が信用を毀損し、多くの顧客を失うことになるかもしれません。これは法令上の罰則以上のリスクとなり得ます。

 

サクラの使用は避けるべき

マッチングアプリにおいて適法にサクラを使用することは困難です。

 

たとえ実際に人が操作せずAIやボットに対応させたとしても、違法性に変わりはありません。重要なのはそれを一般会員のように見せかけているかどうか、利用者を欺罔し、錯誤に陥れるものかどうかという点です。AIであっても違法なサクラ行為として罰せられる可能性は十分に考えられます。

 

一方で、Q&Aのためなど利用者の利便性を向上させる目的で導入するAI機能などであれば基本的に違法とはなりません。

 

利用者がはじめからAIやボットによる応答であることを認識し、マッチングのサービスそのものとは別物であると認識できる状態にあれば問題ないでしょう。

 

マッチングアプリ運営者は口コミ・レビューにも要注意

マッチングアプリを合法的に運営するために、サクラは使用しないようにしましょう。サクラの存在が知られてしまうと、サクラによるプラスの効果より大きな損失を生むこともあります。

 

また、口コミやレビューについても適切に管理すべきです。

 

自社自身での投稿、従業員個人に投稿させるレビュー、そして報酬を支払って投稿してもらうレビューなどは行うべきではありません。

 

目先の利益だけを考えるのではなく、法令遵守を徹底し、健全な運営を通じて利用者からの信頼を獲得することを目指しましょう。こうした地道な取り組みが、盤石な経営基盤を築くことにもつながります。

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  • 所属団体
    • 大阪弁護士会所属
    • 大阪弁護士会消費者保護委員会委員および裁判員本部委員
    • 刑事弁護委員会委員
    • 大阪大学法曹会幹事
    • 大阪青年会議所
  • 経歴

    大阪大学法学部卒業

    2005年(平成17年)11月 司法試験合格

    2006年(平成18年)4月 司法修習生(60期)

    2007年(平成19年)9月 大阪弁護士会に弁護士登録

    2015年(平成27年)7月 岡本仁志法律事務所開設

    2020年(令和2年)7月 法律事務所桃季開設

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